新型コロナウイルスの感染拡大に伴うすべての人へのメッセージポスター

トピックス2020.09.25

 2020年4月7日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴う緊急事態宣言が出されて以来、私たちは当たり前のように暮らしてきた日常から切り離され、聞き慣れない言葉や情報が飛び交う中での不安な生活を送っています。

 

 まず、このたびの新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた国内外の多くの方々に謹んで哀悼(あいとう)の意を表しますとともに、罹患(りかん)されている皆さまに心よりお見舞い申し上げます。さらに、感染リスクにさらされながらも、懸命に治療・対策にあたられている医師、看護師をはじめとする医療従事者の方々、私たちのいのちと今の生活を支えてくれているすべての方々に深く敬意と感謝を表します。

 

 私たちといたしましては、今も困難な状況にある方に思いを寄せて、できることから始めていきたいと思います。その一環として、先の見えない新たな生活を送るすべての人へ向けてのメッセージポスターを制作いたしました。掲示・配布、SNSでの発信など、用途にあわせてお使いください。

 

 また、新型コロナウイルス感染症に注意しながら、法事・法要を行っていただけるよう、ガイドラインを作成いたしましたので、そちらも併せてお使いください。

 

『生きて 死ぬ いのちを 生きている』

(『本願寺新報』2020年7月1日号に掲載)

 

【メッセージ文について】

 

 この言葉は蓮如上人(れんにょしょうにん)の『御文章(ごぶんしょう)』4帖目第9通(『浄土真宗聖典(註釈版第二版)』1181頁)をもとにしています。蓮如上人がその『御文章』をお書きになったのは、延徳4年(1492)6月のことです。それは、疫病(えきびょう)が流行して多くの人々が亡くなっていった年でした。

 

 『御文章』のなかで蓮如上人は、「このごろ疫病が流行し、多くの人々が亡くなっておられます。しかし、人は疫病のせいで死んでしまうのではないのですよ。死ぬということは生まれたときから定まっていることであって、それほど驚くことではないのですよ」(取意)といわれます。思わず「えぇ?!」と思うような内容です。

 

 いま現在、世界中で新型コロナウイルスに感染して多くの方が亡くなっておられることを思うと、たいへん厳しい言葉です。しかし、蓮如上人は、決して、亡くなった方やその家族の心情を無視されたわけではなく、また、医療の努力を無駄なことだとしてこのようなことをおっしゃったのではありません。蓮如上人自身、病気などで何人もご家族を亡くされた方ですので、その悲しみは深く知り抜いておられたはずです。それを踏まえると、この言葉には、「私が、いま、ここに生きているということの根底を見つめることが大事ですよ」という思いを受け止めることができます。

 

 人間に限らず、この世に生まれてきたものは、いつか必ず死にます。私たちはそれを当たり前のことと思っていますが、実際には、それを忘れて日々の生活を送っています。いつ、どこで、どのような形で死がおとずれるかも知らず、いざ、自分や家族に死が迫ってくると、その現実のありように恐れおののくのです。

 

 『御文章』では、先の言葉に続いて、「そのようなものをこそ必ず救う」とはたらき続けてくださる阿弥陀(あみだ)さまの救いが示されています。そして、阿弥陀さまの救いにおまかせして、お念仏を申す生き方をお勧めになっているのです。