台風被害から早2年 コロナかの課題          アクセラ代表堀田了誓さん語る  2021.9.10

 2020年9月9日、千葉県房総半島を襲った台風15号等で壊滅的の被害を被った鋸南町。復興に今なお尽力している鋸南アクセラレーション代表:堀田了誓(最誓寺長男)が、千葉日報の取材に応えた。

 千葉日報2021年9月10日(金)の千葉日報朝刊トップ記事、千葉日報オンライン記事、yahho記事を参照に、以下照会する。

 生活困窮者らの復興の現状や、地域コミュニティーづくりの重要性を語る「鋸南復興アクセラレーション」の堀田代表(右)と清水さん=鋸南町

 

 2019年9月の房総半島台風(台風15号)など

で約7割の住宅が被害を受けた鋸南町。被災から2年が過ぎ、半壊以上の住宅解体や修繕が完了した一方、一部損壊と判定された住宅の一部は今なお修理が完了せず、人口減も進む。生活再建が困難な住民らの支援活動などに取り組む「鋸南復興アクセラレーション」の堀田了誓(りょうせい)代表(42)が千葉日報社のインタビューに応じ、コロナ禍での活動の難しさや復興における課題について語った。(館山・鴨川支局 飽本瑛大)

 

-台風から2年が経過。復興への課題は

 

ブルーシートで覆われた民家=2019年9月、鋸南町岩井袋

 

 生活困窮者や病気を抱える人をはじめ、再建が困難な人々が一定数残っている。また、町内の被災家屋の中でかやぶき屋根の住宅も多いが、そうした住宅を直すためには数千万円かかってしまう。解体するのにもかなりの費用になる。

  

 住宅が一部損壊の判定を受けた人の中にも、自力で回復できた人がいれば、生活苦に陥った人もいる。制度上、一部損壊となった住宅は補償が弱くなり、(実際の被害と補償が)かみ合っていない難しさがある。

 山積みになった災害ごみを収集するボランティアら=2019年9月、鋸南町竜島

 

 こうした人々の根本的な解決には家を建てたり、月々の生活を工面するという話になる。これは他人には

できないこと。限られた活動の中、時間が止まってしまった人々をどう解決へ導くかが今後の一番の課題。

 

-新型コロナウイルスの感染拡大で、活動に変化は

 

 コロナ禍で大勢のボランティアを集めるのが難しくなった。ほとんどの人が神奈川や東京、埼玉など首都圏から訪れていたので、自分たちが(ウイルスを)持ち込んでしまうのではと心配していた。活動を1年以上自粛している人もいる。

 

 ただ、今日に至るまで各地でいろんな災害が起きている中でも「鋸南町に行こう」と思ってくれる人が一定数おり、心強い。長期間にわたり毎週のように来てくれる人もおり、町民の安心につながっている。

 

-今後の活動方針は      

 

 これまで行政や区長らの協力を得て、自分で依頼が出せずに雨漏りしたままだったり、カビが出た状態で暮らしていたりと、埋もれていた被災者を探すことに力を入れてきた。また、災害時に必要な情報を全戸配布の広報誌やSNSで発信している。コミュニティーづくりの場として足湯とお茶会のイベントを開く活動も続けている。

 

 「復興」とはモノが直るだけではなく、心も戻ってくること。団体の活動としては、この年度が一つの節目。さまざまな人々の気持ちが戻ってくることを活動のゴールにしたい。

 

◇鋸南復興アクセラレーション 介護事業者の堀田さん、主婦でフォトライターの笹生さなえさん、町の地域おこし協力隊だった清水多佳子さんの町民3人が主体となり、2019年12月に設立。災害復興ボランティアセンターの運営支援や屋根などの補修支援、専門人材の育成、地域コミュニティーづくりなどに取り組んでいる。