台風15号鋸南町被害状況 最誓寺住職:堀田了正

●鋸南町岩井袋被災状況

2019/9/19(木)撮影

●千葉日報9/13(金)朝刊二面見出し

 連絡取れず「陸の孤島」「漁港エリアの被害深刻」「忘れられた被災地 鋸南」

●記事 ・・・・9日に一時間最大降水量70㍉を記録し、猛烈な風が吹き荒れた同町。民家や電線の倒壊に加え、各地で倒木や土砂崩れが起き、道が遮断。・・・・

 

台風15号による被害深刻
【現状】
停電9月9日(月)午前1時頃から私の寺では停電となりました。これまでの経験から、一日遅くとも二日位で復旧すると思われましたが、今回ばかりは予想がつかないようです。それというのも、情報が遮断されていて、被害状況が把握できず、広範囲にわたっているからです。
鋸南町内の被害状況は、極めて深刻。強風により、多くの家の屋根が吹っ飛び、滝のように降り注ぐ雨により室内はめちゃめちゃ。(私は竜巻ではないかと思います。それというのも、建築中と思われる真新しい柱が、本堂前の通路に飛んできていましたので。近隣で建築中の家はありません。)
電柱が倒れ、樹木が倒れて道路を塞ぎ、停電のためエアコンはつかない、テレビはつかない、冷蔵庫・冷凍庫はだめで、廃棄処分。固定電話は繋がらない。唯一の連絡手段の携帯はつながらない(やがてバッテリー切れ)、車は破壊され、動ける車もガソリン切れ、水道はかろうじて被害は免れましたが、町内で断水になっているところもあります。農林水産業への被害も甚大です。
交通信号機がつかず、交通整理が行われないため、走行に危険が生じています。

金融機関も停電等のため営業できず、電車等の交通機関も運休。
飲食店も被害にあい、普段当たり前に生活していた状況が、一瞬のうちに崩壊されてしまいました。
それでも、携帯の電波が拾える場所を探して、町民がSNS等で被害状況を発信し、県外の知人に惨状を訴え、報道機関等にも連絡を取っていただき、被害状況が極めて深刻だということが、次第に知られるようになりました。

いち早く「災害対策本部」を設置し、迅速な復旧対策を講じることが求められます。
県内外のボランティアの方々、自衛隊の皆さまも救援に駆けつけて頂いています。とても有難いことで、感謝に堪えません。高齢化率県下第二位の鋸南町(高齢化率:65歳以上・2015年 43.60%、全国平均26.6%)。家族が都会に出て働いていて、高齢者のみの家庭・独居の方が多いなか、ボランティアの方々、自衛隊の皆さま、そして、介護事業に携わっていただいている方々(事業所並びにご自身が被災者になっているにもかかわらず)の救援は、大きな心の支えになっています。

学校は休校、乳幼児、病気・障害を抱えている方々も深刻です。停電のため、人工透析を受けている方々は、自家発電の出来る医療機関へ搬送されています。

県外から災害派遣医療チームの方々が多数來房され、治療に携わってくださっています。


このように、いち早く多くの方々が救援に駆けつけてくださっている中、悲しいことに、災害復旧に名を借りた悪徳な詐欺・盗難の被害が発生していることです。断じて許すことができません。

 

今回つくずく思ったのは、防災計画・防災訓練のあり方、災害に見舞われたときの初期対応・行動のあり方を検証しなければならないことです。これは、国・県・市町村等の行政・関連機関はもとより、マスコミ、町民・自治組織等にわたる全てのあり方に関係するものです。
これまで多くの災害・人災に遭遇したときの対応を教訓にして。
「想定外の災害」という言葉をよく聞きますが、災害対策は、最悪の場合を想定して立てられるべきではないでしょうか。(どこまでが最悪かの判断が難しいとは思いますが。)
近年の異常気象による大規模災害の世界的な多発は、地球温暖化が一つの原因といわれています。そういった意味から、これは、国際機関での緊急課題として、国の利害を超えて早急に検討して欲しいと思います。
天災も人災であるという気がしてなりません。

 

※9月10日(火)

浄土真宗本願寺派東京教区の職員2名が被害状況把握、救援物資、お見舞いの品々を届けるため夕刻来寺。発電機、天然水、お見舞いタオル。

 

教務所から送られた救援物資

 

●最誓寺墓地へのお参りを当面の間禁止しています。参道脇の倒木、墓地でのスズメバチ多数飛翔(巣が壊されたためか。最も行動が活発の時期に当たります。)によります。

 

※9月11日(水)~

●門徒宅を訪問。教区からのお見舞いの天然水・タオルを配りながら、被災状況把握。

ご門徒のほとんどが被災。屋根が飛び、部屋中が水浸しの家あり。

●千葉組内の方々お見舞いのため、救援物資を携えて来寺。

友人、知人からお見舞いの品々届く。

●深刻な被害状況が明らかになってくる。屋根破壊、雨漏り、停電、倒木、電柱損壊、交通障害、電波障害、店舗破壊、車破損、ガソリン不足、医療機関・介護施設被害、熱中症、修理中の落下、養殖被害、ビニールハウス被害等により、野菜・花卉の被害甚大、等々。

●町民SNSで大災害状況発信。いち早い救援を求める。災害発生後、2~3日が勝負だと痛切に感じました。建物やインフラの復旧には相当の時間がかかりますが、応急処置、救援物資が届き、ボランティアの方々が多数救援に駆けつけてくださいます。

●情報を得るため、自家用車でテレビが視聴できる場所を探し、情報を得ようとする。

●第4次安倍第2次改造内閣発足。

 

※9月13日

●台風15号による大規模停電、最誓寺は、災害発生5日後の9月13日深夜に復旧。携帯の充電も出来るようになりましたが、表示上は電波良好でも通信できずらい状況はかわりません。テレビのアンテナが壊れてしまっているので視聴でず、情報が限られています。

浄土真宗本願寺派東京教区の職員2名が再度来寺。天然水、お見舞いタオル持参。

●千葉組組長、災害対策委員長他お見舞いの品を持って被災状況把握のため来寺。

●固定電話が通じるようになったため、ご門徒、寺院、友人、知人からお見舞いの電話来る。鋸南町上空にヘリコプター多数。鋸南町の惨状が、報道により知られるようになってきた。 

 

※9月14日(土)

携帯電話は、吉浜の国道海岸側で通信できるようになり、電波を探す自動車多数駐車。

 

 ●千葉組(浄土真宗本願寺派東京教区)の災害対策委員会の皆さまが、9月26日(木)に、鋸南町ボランティアセンターに参加し、復興支援ボランティアを行ってくださる予定になっています。

 

※9月19日(木)

●本願寺派副住職様、ボランティアのため、来寺。被害が大きかった「岩井袋」での民間有志のボランティアに合流。残された8戸の災害ゴミの撤去、(ブルーシート張りは危険が伴うので一般のボランティアは無理とのこと。)に一日中取り組んでくださいました。

●千葉組(浄土真宗本願寺派東京教区)の災害対策委員会の皆さまが、9月26日(木)に、鋸南町ボランティアセンターに参加し、復興支援ボランティアを行ってくださる予定になっています。 

 

※9月20日「金)

町ボランティアセンターから5名のボランティアの方々が最誓寺に派遣され、復旧に携わってくださいました。 

 

※9月22日(日)

●鋸南町ボランティアセンターの一般ボランティアの受付は、23日(月)14:00で終了との連絡がありました。今後は、専門的な作業が必要となってきたようです。

●夕方、裏の枇杷山で作業をしていた男性が、スズメバチに射されました。

最誓寺では、危険なため、引き続き、当面の間墓地へのお参りは自粛させて頂いています。(本堂でのお参りをお願いします。)

 

※9月23日(月)

●台風17号の影響で、深夜激しい雨が降る。ブルーシートが飛ばされる危険ありとのこと。

 

※9月26日(木)

●千葉組(浄土真宗本願寺派東京教区)の災害対策委員会の皆さま7名が、鋸南町を訪れ、竜島地区の災害ゴミ分別のボランティアに参加いただきました。本当に有難うございました。

●被災されました皆さまの家では、カビの発生等、住環境が更に厳しくなっています。災害ゴミの分別・撤去も始まっています。今後台風、雨風等が予想されますので、早急な復興対策を強く求めます。