社会を明るくする運動 作文コンテスト 県知事賞受賞

2020.7.15 浄土真宗本願寺派慈光山最誓寺 住職 堀田了正

 

県知事賞 鋸南小学校6年 西﨑至佑さん 「人が一番優しい気持ちになる瞬間」



 60歳で定年退職後、町から保護司になってくれないかという要請を受けてから、早14年が過ぎようとしています。75歳定年とのことですので、あと一年残すのみとなりました。

 

 保護司の定数は,全国52,500人と定められていますが、充足率はここ数年減少傾向にあるようです。更生保護の取り組みは、保護観察所など国の機関が地域の保護司や関係機関・団体と連携しながら推進しています。

 7月は、法務省が主唱する「社会を明るくする運動」~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~の強調月間です。  

 

 

 「社会を明るくする運動」は、すべての国民が犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない明るい社会を築こうとする全国的な運動です。(「法務大臣の答弁」「#検察庁法改正案に抗議します」、「黒川検事長“定年延長”」「黒川検事長賭け麻雀処分 訓告」「黒川検事長高額な退職金」「前法務大臣河井夫妻の公職選挙法違反容疑で逮捕」そして、「安倍首相任命責任」等々法務省関係で指摘されている数々の問題)数ヶ月にわたり国会で追及されてきた数知れない様々な問題を聞くにつけ、法務省関係で地道に活動している方々の声なき声、小中学生の実体験からにじみ出た叫びを、是非聞いて欲しいと願うばかりです。

 

 「社会を明るくする運動」の一環として毎年行われていた作文コンテストは、次代を担う全国の小中学生に、日常の家庭生活、学校生活の中で、犯罪や非行などに関して日ごろ考えていることや体験したことを作文に書くことにより、この運動への理解を深めてもらうことを目的として始められたものです。

 

 当町では例年、夏休みの課題として小中学生に応募してもらっていました。

 昨年(2019年)の作文コンテストで、千葉県内から小学生の部では、8,614点の応募があり、その内鋸南小6年西﨑至佑さんの「人が一番優しい気持ちになる瞬間」と題した作文が、「千葉県推進委員会委員長賞(県知事賞)」を受賞いたしました。西﨑さんの作文は、同じく県知事賞を受賞した他の2人の作品と共に、中央推進委員会に推薦されました。

 

 今年(2020年)は、新型コロナウイルス感染症予防の関係で、行う予定であった「推進会議」「街頭啓発活動」「作文コンクール」が、残念ながら中止となりました。

 以下、西﨑至佑さんの作文を転載させて頂きますので、是非お読み頂きたいと思います。


 

鋸南町立鋸南小学校6年 西﨑至佑

「人が一番優しい気持ちになる瞬間」

 人が一番優しい気持ちになるのは、どんな時だろうか。

みんな「優しい、優しい。」と言っているけど、いった

いどんな時に一番優しい気持ちになれるのだろうか。

 ある日、ぼくが遊びから帰って来た時に、家の近くで、

車いすを使っている人を見かけた。高れいの女の人だっ

た。その人は、ひざの上と両手に大きな荷物を持ち、大

変そうに一人で車いすを運転していた。その人が進んで

いる道を見ると、小さい石がたくさんあって、カタカタ

していた。そこを車いすで通るのは、危ないと思った。

その様子を見た時、心の中で「助けてあげよう。」と思っ

だけど、声をかける勇気が全然出なかった。他の人達が

どんどんその人を無視して通っていった。しかし、その

中で一人の男の人がその人に近づいて、

「荷物、持ちましょうか?。」

と、優しい声でたずね手伝ってあげていた。それを見た

時に、「あの人は、とても優しいし、勇気があるなあ。」

と感心してしまった。だから、いつかあの男の人の事を

真似しようと思った。でも、その裏側に自分があんな事

ができるのか、不安な気持ちもあった。

 それから少しの日がたって、家の近くの道路に子ども

連れのお母さんが両手に荷物を持っていた。とても大変

そうにしている所を見かけた。そのお母さんの子どもが

両手に荷物を持っているのに、

「だっこして、だっこしてよ。」

と、両手を前に出して「だっこのポーズ」をしながらぐ

ずっていた。それを見た時ぼくは、しっかりと勇気を出

して、お母さんのそばまで行って、

「荷物を持ちましょうか?。」

と、たずねた。

 その言葉を言う時は、心臓がものすごくパクパクと

なっていた。そのお母さんは、びっくりした表情をして

いたけれどすぐににっこりと笑って優しい声で、

「どうもありがとうございます。でも、家が近くなので、

大丈夫ですよ。」

と、言って行ってしまった。ぼくは、その場に立ちすく

んでしまった。「大丈夫ですよ。」と言われてしまった

けれど、心の中は温かい気持ちと、達成感でいっぱいに

なっていた。なぜかと言うと、そのお母さんの明るく優

しい笑顔で、温かい気持ちになれたし、勇気をふりし

ぼって今までできなかった事が、できるようになったの

で、うれしかった。

 このような体験をして、ぼくは人が一番優しい気持ち

になれる瞬間は、困っている人を見かけた時に、「助け

てあげよう。」という優しい気持ちになり、勇気を出し

て行動にうつす時だと思った。だから、困っている人を

見かけたら、勇気を出して進んで声をかけて困っている

人を助けていこうと思った。そうすれば、社会全体が優

しさであふれ、とても明るい世の中になっていくのでは

ないかと思った。

 

【講評】

「お手伝いしましょうか」と勇気を出して語りかけた筆者。

「大丈夫ですよ」と手伝うことは出来なかったけれど、

温かい気持ちで満たされます。体験に基づいた困った人に

優しくしようという主張に説得力があります。